日独ユースサミット Hallo Deutschland2015

2015年11月9日掲載

私は8月20日~30日にかけてドイツで行われた、独日青少年協会主催の日独ユースサミットに参加しました。このプログラムは若者交流を目的に毎年ドイツ、日本で交互に開催されています。今年は主にデュッセルドルフ、ハノーファー、ベルリンをまわりながら教育、政治、文化、環境、社会と、5つのグループに分かれてさまざまな施設、企業を訪問し、ディスカッションを重ね、最終日にベルリンの独日センターでおよそ100人の前でプレゼンテーションを行いました。

私は社会グループで、「オンラインの普及による今後のメディアの在り方について」をテーマに、活動しました。FUNKE印刷工場、TAZ新聞社、ドルトムント新聞研究所、国境なき記者団、毎日新聞ベルリン支局、Madsack社、DER SPIEGELベルリン支局、Google支社を訪問し、いろいろな角度からメディアの在り方について学びました。

<ドルトムント新聞研究所>


私はこれまで、オンラインが普及し、あらゆるものが画面を通して行われ、紙媒体が減少していくことに不安を覚えていました。しかし、それは主観的な意見であり、頭ごなしにオンラインを否定するのは間違っていることに気付きました。新聞社にとって収入のほとんどはいまだに紙媒体が占めており、オンラインは紙媒体を買ってくれる人に対するサービス的な位置付けであるということを聞き、紙があるからこそオンラインが成り立っているという事実を知りました。ドルトムント新聞研究所では、過去の新聞を保存してあるマイクロフィルムを実際に見せていただき、新聞は歴史になるということ、貴重な文化であるということを感じました。国境なき記者団では、現状を取材した本の売れ行きが減少し、今ではオンラインでの広報に力を入れていると聞きました。また、世界各国での、報道の自由ランキングについて、日本はまだまだ下位であるという現実を知りました。毎日新聞支局では、記者の方から、日本とドイツの取材事情の違いを教えていただきました。グループワークを通して私が感じたことは、紙媒体があるからこそオンラインが成り立つという、このバランスを維持していくこと、そしてそれぞれのメリットデメリットを認識し、情報を得ることが大切だということです。

グループワークは充実し楽しいことばかりでしたが、ディスカッションでは悔しい思いもしました。ドイツ人はディスカッションに非常に慣れています。早口のドイツ語でどんどんヒートアップする議論に日本人は口をはさめず、通訳を待つという状態が何度かあり、言語の壁を感じました。しかしたった2週間でも、常に生のドイツ語を聞いて、少しずつ聞き取れるようになっていく感覚は初めてで自分の中では大きな成果でした。 

グループワーク以外にもスケジュールは盛りだくさんです。市内観光はもちろん、ヴォルフスブルクではフォルクスワーゲン社を見学し、ベルリンでは大使館でレセプションがあり、素敵な生演奏と、立食パーティーでは、普段絶対関わることができない、世界で活躍されている方々とお話しすることができました。バーベキューやカラオケ大会など、朝から晩までとにかく盛り沢山な10日間を過ごし、同年代の人たちと交流したことはとても貴重な経験でした。

<ベルリン ブランデンブルク門>


このプログラムは志望動機などをもとに選考があるので、参加者は全員、互いに相手国の言語を学び、日独交流に強い関心を持っている意識の高い人たちばかりでした。友好的な雰囲気でありながら、すべてが学びにつながるこのような刺激的な環境は日本では得られないでしょう。私にとっては、海外への一人旅も、ユースホステルでの外国人との共同生活も初めてだったので、何をするにしても新しい発見がたくさんありました。この貴重な経験は、これから何か新しいことを始めるうえでの自信にもつながったと思います。

(学部3年 K.T)

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