---P2 <第2回バリアフリー講習会『発達障がいと学び ~高校までとこれからと~』>  今回の講習会では、『発達障がいと学び ~高校までとこれからと~ 』というテーマで株式会社Grow-Sの濱野 智恵氏にお話をいただきました。障がいのある学生の入学は年々増加傾向にあります。 そうした中で、彼らが有する障がい特性も年々広がりを見せており、多種多様な困りごとを抱えた学生が入学してきています。例えば、一見同じような障がい程度と思われる学生の中にも、授業支援を活用する学生と全く活用しない学生がいることなどに違いとして現れます。こうした異なる支援ニーズに合わせ、彼らの支援を検討するうえで、障がいのある学生の大学入学以前の様子を理解することが大きく役立ちます。彼らが高校までの生活でどのような過ごし方をしているのか、そして何に躓きがちであるのかを理解することは、私たちが彼らの支援ニーズをよりよく想像するうえで必要です。そこで、当日は濱野氏に”発達障がい×学び” に焦点化しつつ、以下のようなお話をいただきました。  濱野氏のお話では、都立高校で行われている発達障がいのある高校生の支援に関する取組の紹介や、中・高生の彼らが周囲とのコミュニケーションなどで課題に感じていることについて紹介されました。その中には、発達障がいについて、障がいではなく、発達の“ 違い” であるという視点や、『時間割が急に変わるとびっくりする』といったことや、『自習で何をしてよいかわからないので、具体的な課題を出てほしい』といった困りごとを抱える生徒や、『独り言が多いけれど、頭の中で整理しきれなかった情報を確認している状態なので気にしないで』『パニックになっている時には『どうしたの!?』『大丈夫!?』と言われるとさらにパニックになってしまうので、何事もなかったかのように話を続けて』といったリアルな姿が浮き彫りになるお話でした。  ご講演後の参加者の感想では次のようなものがあげられました。『様々な価値観の方が世の中にはいるので、どのような方にも順応できるようになりたいと思い受講しました。過去にどうしてこんな発言・行動をするのだろう、と疑問に思ったことがあったのですが、 このような思考回路でこの発言をしたんだなということが分かった気がします。 定期的に開催していただけますと大変嬉しいです。』『発達障害について、特に教育の面から考えることができとても良い機会となりました。私は教職課程を履修しており、特別支援教育に関する授業も受けています。支援の必要な児童や生徒が近年増えていることを聞き、仮に将来自分が教員になった時どのように接したらよいのか考えていたため、濱野さんに具体的な支援を行う上で意識するべきことをお話ししていただいてとても参考になりました。ありがとうございました。』『発達障がいのグレーゾーンの方への接し方について学びたいです。大学には行けて、仕事もできますが、込み入った話し合いの場での意思疎通が難しい方などです。どこから発達障がいでどこまでが性格と捉えたらよいのか難しく、周りでも性格と捉えている人もいれば、発達障がいと捉える人もいる。そういった方への対応と、発達障がいグレーゾーンの方ご自身の心構えも学びたいです。』など、濱野氏のご講演をきっかけに今まで以上に発達障がいのある学生たちへの想像力が高まる様子が見られました。  今後も発達障がいだけでなく、様々な障がいのある学生の高校までの様子について講演会を行っていきたいと思います。( 益子) ☆画像=広報チラシ☆ ☆写真①=身振りを交えて講演する濱野氏☆ ☆写真②=講演後の質疑応答で学生が質問する様子☆ ------- <寄稿『ダイバー室と私の9年間』>  思えば私とダイバー室との付き合いも9年間というなかなかの時間になりました/。年間のうち、最初の半年は支援を受ける学生として、そしてその後は障がい学生兼支援スタッフの一員として、という具合でした。  このような形でダイバー室と関わるようになったのは、前任の障がい支援担当の横山さんとの出会いが大きかったように思います。学部1年の10月、横山さんと初めて会ったその日に、『自分も何かの形で支援に携わりたい』という話をしました。  そして、この時の話をきっかけに、学内者向け勉強会で視覚障がい者としての経験や状況を発信する場を作っていただくことができました。その後も、学生向けの授業やアメリカ留学の報告会、そして中学校での出前授業など形を変えながら大きくなり、今まで多くの人に自身のことを知ってもらう機会を得ることができました。  また、学生支援スタッフとして、バリアフリーマップの作成や動画の文字起こし、よりよい支援の運用の在り方を皆で話し合うなど、いつの間にかダイバー室が一つの居場所になっていました。そこでは、一生の付き合いになるであろう友人もたくさんできました。  今いる皆さん、そしてこれからやってくる全ての皆さんにとって、それぞれに過ごしやすいダイバー室がこれからも続きますように。9年間ありがとうございました。  障がい者支援スタッフ   理学研究科数理科学専攻博士後期課程3年 簗島瞬 ☆本人写真☆