---P3 DIVERSITY WEEK 2023 映画上映会&感想シェア(0607)・ワークショップ(0608) 『手でふれてみる世界』  視覚障がいのある夫婦が作り上げた、見える人も見えない人も、共に美術作品に手で触れて鑑賞できる『オメロ触覚美術館』。その活動を伝える映画『手でふれてみる世界』の上映会を行いました。 このうち、6月8日(木)の回には、本作品を作成した岡野晃子さんにおいでいただき、アフタートークとワークショップを行いました。  2022年に開催された国際博物館会議(ICOM)第26回大会において、『ミュージアム』の定義が改正され、『inclusive(包摂的)』の文言が明記されました。 また、2021年に国立民族学博物館で開催された『ユニバーサル・ミュージアム――さわる!“触”の大博覧会』は、単なる障がいのある人への対応、弱者支援という枠を超えた、博物館における『合理的配慮』の実践事例としての側面も持つイベントでした。 そうしたミュージアムの可能性のひとつのあり方として、誰もが本物の作品に手で触れることのできるオメロ触覚美術館の様子を描いた映画からは、『ミュージアムとは何か』という問いかけが伝わってきたように思います。 参加者からも、『美術館の展示物は触れてはいけないということを当たり前のように受け入れていたけど、それは視覚障がい者にとっては芸術鑑賞の機会を奪われることなのだと気づき、universalな美術館の取り組みが広まればいいなと感じた』 『『見る』ことを心から楽しむ夫妻や子どもたちなどの人々の様子は、こちらも見ていて非常に幸せでした』などの感想が寄せられました。  ワークショップでは、参加者が目をつぶって小ぶりな彫刻作品に触れ、『手で鑑賞する』体験を味わいました。 ワークショップの参加者からは、『触って想像する自由を感じました』『全ての人のそれぞれの『見る』を尊重する博物館・学芸員はとても理想的だと思いました』などの感想が寄せられ、形だけでなく、大きさ、重さ、質感など、触覚を通じてみる体験は、参加者にも新たな視点をもたらしたようです。 (藤山) ☆写真☆ワークショップで参加者に講演する講師の岡野晃子さん ----------- DIVERSITY WEEK 2023 支援活動報告会(0609) 『バリアフリーチェック報告(南大沢キャンパス理系エリア)』  昨年度2022年8月から行っていたバリアフリーチェック講習会(8・9・11・12号館を対象)の内容について、5人の学生支援スタッフを中心に報告を行い、大学内の物理的なバリアについて参加者と共にその課題を共有しました。  報告の中では、バリアフリートイレや各棟のエレベーターに加え、建物の内外にある各通路の点字ブロックや障害物の有無について、発見された課題を共有することができました。  参加者からは、『法律などの基準を満たすことがゴールではないこと、構成員が注目して、声を挙げていくことが必要ということを改めて感じました』 『こうしてバリアフリー化がされていないところを知ることにより、見かけた障がいのある方がそもそも困っているのかを判断することができ、どのような助けをしたらいいかがわかるようになると思いました』という声が挙げられました。  また、発表した学生支援スタッフからも『修繕や改修すべき場所を見つけることは私たちにもできますが、それを実行するのは学生だけでは限界があるため、学長や設備に関わる職員の方などとバリアフリーについて一緒に考えることができたのはとても意味のあることだったのではないかと思います。 職員さんのご意見の中で印象に残ったのが、“災害時の避難において、施設のバリアがないことはもちろんのこと、(障がいのない)学生が障がいのある学生を把握していることも重要”というものでした』という感想が寄せられました。  今回の点検の結果についても引き続き、本学のバリアフリー推進に資するため、学内において提言していきたいと考えています。  みなさんも日々の大学生活の中で、こういったバリアについてお気づきの点がありましたら、ぜひ当室までご連絡ください。どうぞよろしくお願いします。 (益子) ☆写真☆支援活動報告をする学生支援スタッフ ----------- DIVERSITY WEEK 2023 男女共同参画講演会(0609) 『マンガは学びに満ちている!~マンガをジェンダーの視点で読んでみると~』  東北芸術工科大学准教授でマンガ研究者のトミヤマユキコさんを講師に迎え、私たちにとって非常になじみ深いマンガを題材に、ジェンダーに関する視点から読み、考えることで、ジェンダーやセクシュアリティについて学ぶ講演会を開催しました。   トミヤマさんは、まず『女性の人生は非リニアである』として、進学、就職、結婚、出産、介護など、男性に比べ、女性は人生の中でさまざまな分岐点を迎えざるを得ないことを指摘しました。 そのうえでトミヤマさんは、『女子マンガは人生の参考書』と語り、『すぐれた女子マンガには、女たちの労働観や、それと密接に関わる人生観や結婚観などが描かれている』ことを示しました。 そうした視点から、『ハッピー・マニア』『美少女戦士セーラームーン』『逃げるは恥だが役に立つ』などの名作マンガの数々が、トミヤマさんの軽妙な語り口によって読み解かれ、一連のマンガから『恋愛』と『結婚』の関係性の変化や『男らしさ』イメージの変化、夫婦のあり方など、さまざまなことを学べることが実感されました。  『マンガは第一に『娯楽』であるが、読み方によっては、この社会の抱える諸問題について考えるきっかけを与えてくれるし、問題解決のためのヒントを与えてくれることだってある』というトミヤマさんからの締めのメッセージは、この講演会を貫く思いとして会場の皆様に届いたようでした。  会場からは、『今まで少女漫画=恋愛漫画という固定概念があったが、今回の講演会で考えが180度変わりました』 『昨今はいろいろな形・場所で“戦う女性”が登場するマンガが多く、社会人となった今でも『こういう生き方もあるのか、見習ってみよう』『明日からも頑張ろう』と感じたり、日頃のモヤモヤを言語化してもらったことですっきりしたりと、励まされることが多いです』 など、マンガを深く読み、楽しむ視点が伝わったことがうかがえる声が寄せられました。 (藤山) ☆写真☆講演中のトミヤマユキコさん