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首都大学東京 都市環境学部 都市基盤環境学科 コンクリート研究室

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コンセプトAbout our Speciality -Overview, 2014

 研究概要 ー2014年度
  1. 構造物の補修補強のための間隙充填モルタルの充填性能に関する研究
  2. コンクリートの締固め特性に及ぼす鉄筋配置の影響に関する研究
  3. プレキャストコンクリート製品の耐久性に及ぼす表層部細孔構造と水分供給に関する研究
  4. CFRP格子筋と吹付けモルタルを用いたコンクリート部材の補強における界面せん断耐荷挙動の把握に関する研究
  5. 高度浄水処理施設の躯体コンクリートにおける劣化原因の推定に関する研究
  6. コンクリートにおける環境負荷抑制に関する研究
  7. 極初期の組織形成および養生温度が温度履歴養生後のモルタルの強度および組織構造に及ぼす影響に関する研究
  8. コンクリートの破壊エネルギー試験における寸法依存性に関する研究
  9. バックルプレート床版の長期モニタリングに関する研究




1.構造物の補修補強のための間隙充填モルタルの充填性能に関する研究
鋼板巻立て工法などに用いられるセメント系充填材(以下、間隙充填モルタル)は、主として狭い間隙を密に充填することが求められるが、全ての施工現場で間隙を完全に充填できているかは不明である。充填性を高めるためには、狭い間隙を充填する流動性が求められる一方、骨材の分離による閉塞を起こさない材料分離抵抗性が必要となる。間隙充填モルタルの充填性は、フロー試験で得られるフロー値で評価可能であるとされており、フロー250mm程度が充填性の境界であることが示されている。本研究では、フローを250mm(±5%)に統一した試料を作製し、各種試験を実施し、フロー以外の要因が充填性に及ぼす影響を検討した。

2.コンクリートの締固め特性に及ぼす鉄筋配置の影響に関する研究
近年、コンクリート材料の多様化に伴い、同一スランプであっても様々な配合や材料構成が想定され、ワーカビリティーが異なるコンクリートが多く存在する。また、硬化コンクリートの品質を確保するためには締固めを適切に行うことが重要であり、締固めを適切に実施しなければ施工欠陥を引き起こし、その後の構造物の耐久性に悪影響を及ぼす。さらに、近年のコンクリート構造物では、耐震性確保の観点から過密配筋となっており、締固めが難しい場合もある。現状の内部振動機を用いた締固めでは、振動時間や振動機の挿入間隔が、作業員の経験や判断に委ねられており、締固め作業における定量的評価が望まれている。本研究では、鉄筋配置がコンクリートの締固め特性に及ぼす影響について検討した。

3.プレキャストコンクリート製品の耐久性に及ぼす表層部細孔構造と水分供給に関する研究
プレキャストコンクリート製品は、一般に工場において蒸気養生が施され、所要の強度を発現し、現場での養生が必要とならないため、工期短縮等による利用促進が期待されている。一方で、大型のコンクリート製品は取り替えが困難であるが、これまで耐久性に関してはほとんど検討されていない。なお、コンクリート製品は現場設置後の降雨による水和反応の継続を見込んでいるのが実情である。また、一般的なコンクリート構造物は、若材齢において脱型が行われ、環境温度や水分供給量などの条件により、表層部と内部の細孔構造は異なるが、細孔構造に対する水分供給量の影響を検討した研究は少ない。本研究では、蒸気養生コンクリートの二次養生条件ならびに水セメント比がコンクリートの細孔構造や中性化に及ぼす影響について検討した。さらに、蒸気養生コンクリートの耐久性評価のため、海洋環境に曝露された供試体の1、2、5年における塩化物イオン拡散係数について検討した。

4.CFRP格子筋と吹付けモルタルを用いたコンクリート部材の補強における界面せん断耐荷挙動の把握に関する研究
既設コンクリート構造物の補修・補強工法の一つに、連続炭素繊維(CFRP、Carbon Fiber Reinforced Plastics)格子筋と吹付けモルタルを適用した断面修復工法がある。この工法は、コンクリート部材の曲げ補強に広く用いられているが、コンクリートの梁や壁面などの部材側面を対象としたせん断補強においても有効であると考えられる。本研究では、本工法によるせん断補強効果の定量化を目的とし、梁部材のせん断ひび割れ部を模擬して前年度実施した要素試験の結果を対象に、補修界面のせん断付着応力分担域について、界面の破壊エネルギーを仮定したFEM解析により検討した。

5.高度浄水処理施設の躯体コンクリートにおける劣化原因の推定に関する研究
高度浄水施設の一つである生物活性炭吸着池の躯体コンクリートは、他の浄水施設と比較して早期に劣化するとされる報告がある。本研究では、生物活性炭吸着池を対象として、躯体コンクリートの外観調査および水質調査を実施した。その結果、躯体コンクリートの劣化要因の一つに微生物由来の炭酸が躯体コンクリートの劣化を促進させていることが推察された。したがって、各種配合のモルタル供試体を流水環境下の炭酸水に浸漬し、質量変化率、表面高さの推移、中性化深さについて検討した。さらに、生物活性炭吸着池では、4日1度、活性炭の逆洗浄が実施されており、逆洗浄時に活性炭がコンクリート壁面を摩耗劣化させていることが推察された。このことから、各種配合のモルタル供試体に、水中摩耗試験を実施し、摩耗劣化に関する検討を行った。

6.コンクリートにおける環境負荷抑制に関する研究
a)エコセメントを用いた舗装用超硬練りコンクリートの耐凍害性の向上に関する研究
都市ゴミ焼却灰を主原料とするエコセメントを積極的に活用するためには、アルカリ量や塩化物イオン量を考慮した場合、ペースト相の体積を減じることと補強鋼材を含まないことが大変有効である。すなわち、エコセメントの適用先として、舗装用の超硬練りコンクリートが有効と考えられる。これまでに、エコセメント超硬練りコンクリート(ECRCC)は、締固め性および機械的性質で、舗装用コンクリートとして充分な性能を有していることが示されている。しかし、耐凍害性については、凍結防止剤散布下を想定したNaCl3%溶液環境下でのスケーリングが増大する傾向にある。本研究では、ECRCCの耐凍害性の向上を目的とし、エコセメントと高炉スラグ微粉末で構成される混合紛体の充填構造に関する基礎的検討およびモルタルを対象とした硬化後の機械的性質に対する混和材置換の影響に関する基礎検討を行った。

b) 歩道ブロックの表面形状による再帰反射率への影響に関する研究
近年、都市部でアスファルトコンクリートやセメントコンクリート等の蓄熱体が増えたことにより、熱帯夜や熱中症等が頻発し、人体に悪影響を及ぼしている。このため、舗装表面に遮熱性塗料を塗布し、近赤外線領域の波長の光を反射させる遮熱性塗料の検討が行われてきた。しかし、舗装表面で入射光を反射しても、反射光により構造物の壁面等を暖めると、反射の効果が少なくなる。熱源となる近赤外線を入射してきた方向へ反射する再帰反射の割合を増やすことで周辺の熱環境を改善できると考えられる。本研究では、車道舗装と比較して強度、形状の自由度が高く、人体に直接的な影響を与えると考えられる歩道舗装を対象とし、夏季温度低減を目的とした基礎的な検討を行った。

c) 砕砂を用いたモルタルの流動性に及ぼす砕石粉の影響
砕石および砕砂の製造工程から生じる微粒分は、コンクリート用砕石粉としてJISに品質規定されているが、積極的な利用が行われていない現状にある。本研究では、砕砂を用いたコンクリートの流動性に対する砕石粉の影響を、砕砂の粒子形状に着目して定量的に評価することを目的とし、モルタルを対象として基礎的に検討した。

7.極初期の組織形成および養生温度が温度履歴養生後のモルタルの強度および組織構造に及ぼす影響に関する研究
コンクリートに対する給熱養生は、結合材の反応促進のために行われるが、極初期材齢の水和セメントペースト組織に対して応力を生じさせる要因にもなる。しかし、給熱養生前の組織が、熱作用で生じる応力に耐えるものであるかを検討した研究はほとんどない。本研究は、熱作用を受ける前の組織形成の程度が、硬化後の機械的性質および細孔構造に及ぼす影響について、基礎的に検討した。熱作用を受ける前の組織形成の程度は、プロクター貫入抵抗値で評価し、プレキャストコンクリート製品の蒸気養生を模擬した温度履歴を与え、硬化後のモルタルに及ぼす前養生での組織形成の影響を圧縮強度、静弾性係数および細孔構造の観点から検討した。

8.コンクリートの破壊エネルギー試験における寸法依存性に関する研究
コンクリートの破壊エネルギー試験は、切欠きはりの3点曲げ試験から得られる荷重‐開口変位曲線下の面積と供試体の自重がなす仕事量の合計値をリガメント面積で除すことで得られる。しかし、破壊エネルギー試験では、寸法依存性が存在し、切欠き高さが高くなるほど得られる破壊エネルギーは小さくなる。ここで、破壊エネルギーの算出におけるリガメント面積は、供試体幅と切欠き上部の供試体高さの積であり、2次元の場合、切欠き先端から載荷点を結ぶ1本の線で与えられ、破断面の凹凸性状は考慮されない。しかし、同一のリガメント面積であったても、個々の供試体で破断形状は異なり、実際のひび割れ進展面積とリガメント面積は異なる。本研究では、断面欠損率(切欠き高さ/供試体高さ)と骨材の最大寸法を変化させて、コンクリートの破壊エネルギー試験を実施し、破断面の凹凸性状と破壊エネルギーの関係について検討した。

9.バックルプレート床版の長期モニタリングに関する研究
東京都が管理する橋梁には、国の重要文化財である清洲橋や永代橋があり、これらの橋梁は供用後80年を超えて健在である。また、これらの床版にはバックルプレート床版(BP床版)が採用されている。BP床版の耐荷性能や疲労耐久性に関しては、十分に解明されていない現状にあり、そのモニタリング手法も確立されていない。本研究では、清洲橋実物大モデルの供試体を作製し、輪荷重走行の損傷を受けるBP床版を対象にアコースティック・エミッション法(AE法)および弾性波法を適用し、非破壊検査によるBP床版の損傷程度の把握および今後の維持管理を戦略的に実施するための基礎検討を行った。
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2013/12/3
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