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首都大学東京 都市環境学部 都市基盤環境学科 コンクリート研究室

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コンセプトAbout our Speciality -Overview, 2013

 研究概要 ー2013年度
  1. 構造物の補修補強のための間隙充填モルタルの充填性能に関する研究
  2. タンピング試験によるコンクリートの施工性簡易評価手法に関する研究
  3. コンクリートの締固め特性に及ぼす鉄筋配置の影響に関する研究
  4. プレキャストコンクリート製品の耐久性に及ぼす表層部細孔構造と水分供給に関する研究
  5. CFRP格子筋と吹付けモルタルを用いたコンクリート部材の補強における界面せん断耐荷挙動の把握に関する研究
  6. 高度浄水処理施設の躯体コンクリートにおける劣化原因の推定に関する研究
  7. コンクリートにおける環境負荷抑制に関する研究
  8. モルタルの強度および静弾性係数に対する硬化初期の温度履歴養生に関する研究
  9. コンクリートの破壊エネルギー試験における寸法依存性に関する研究
  10. バックルプレート床版の長期モニタリングに関する研究




1.構造物の補修補強のための間隙充填モルタルの充填性能に関する研究
既存構造物の鋼板巻き耐震補強では、新たに設置した鋼板などの補強材と母材コンクリートとの間隙に、モルタルやセメントペーストを充填し、両者の一体化を図るグラウト工法が実用化されている。しかし、充填箇所の狭窄部などは、充填が不十分となることが懸念され、間隙幅と充填すべき面積に応じた間隙充填材料の構成を明確にすることが重要である。間隙充填モルタルの要求性能は、間隙を隙間なく充填できる高い充填性が挙げられ、充填性は流動性と材料分離抵抗性の影響を大きく受ける。本研究では、間隙充填モルタルの流動性と材料分離抵抗性が、間隙充填に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、特に流動性についてはフローと塑性粘度、材料分離抵抗性については分離抵抗指数を定義し、それと骨材粒径に着目して検討した。

2.タンピング試験によるコンクリートの施工性簡易評価手法に関する研究
近年、コンクリート材料の多様化に伴い、同一スランプであっても様々な配合や材料構成が想定され、ワーカビリティーが異なるコンクリートが多く存在する。このため、要求されたスランプを満たせば、施工に供することができると単純に判断するのは適当でないといえる。本研究では、同一スランプで、単位セメント量や細骨材の粗粒率が異なる配合のコンクリートにタンピング試験を適用し、ワーカビリティーに対する配合ならびに細骨材の粗粒率や微粒分の影響を検討した。また、フェロニッケルスラグ細骨材や、近年、開発・研究が進められているフェロニッケルスラグ粗骨材を使用したコンクリートを練り混ぜ、タンピング試験を実施した。これにより、フェロニッケルスラグ骨材を用いた場合のコンクリートの流動性と材料分離抵抗性および、取り扱い上の注意点等、その影響を検討した。

3.コンクリートの締固め特性に及ぼす鉄筋配置の影響に関する研究
コンクリートの品質を確保するためには、締固めを適切に行うことが重要であり、締固めが適切に行われなかった場合、施工欠陥を引き起こすことになる。しかし、内部振動機を用いた締固めは施工環境や作業員の技量に左右されてやすく人為的になりがちであり、振動を与える時間や振動機を挿入する間隔は、作業員の経験や判断に委ねられているのが現状である。本研究では、鉄筋の有無および鉄筋の配置がコンクリートの締固め特性に及ぼす影響について検討した。

4.プレキャストコンクリート製品の耐久性に及ぼす表層部細孔構造と水分供給に関する研究
プレキャストコンクリート製品は、一般に工場において蒸気養生が施され、所要の強度を発現し、現場での養生が必要とならないため、工期短縮等による利用促進が期待されている。一方で、大型のコンクリート製品は取り替えが困難であるが、これまで耐久性に関してはほとんど検討されていない。なお、コンクリート製品は現場設置後の降雨による水和反応の継続を見込んでいるのが実情である。また、一般的なコンクリート構造物は、若材齢において脱型が行われ、環境温度や水分供給量などの条件により、表層部と内部の細孔構造は異なるが、細孔構造に対する水分供給量の影響を検討した研究は少ない。本研究では、コンクリート表層部の細孔構造の緻密化に及ぼす断続的な水分供給の影響に着目し、コンクリートの物性および耐久性の向上について検討を行った。

5.CFRP格子筋と吹付けモルタルを用いたコンクリート部材の補強における界面せん断耐荷挙動の把握に関する研究
既設コンクリート構造物の補修・補強工法の一つに、連続炭素繊維(CFRP、Carbon Fiber Reinforced Plastics)格子筋と吹付けモルタルを適用した断面修復工法がある。この工法は、コンクリート部材の曲げ補強に広く用いられているが、コンクリートの梁や壁面などの部材側面を対象としたせん断補強においても有効であると考えられる。本研究では、本工法によるせん断補強効果の定量化を目的とし、梁部材のせん断ひび割れ部を模擬して前年度実施した要素試験の結果を対象に、補修界面のせん断付着応力分担域について、界面の破壊エネルギーを仮定したFEM解析により検討した。

6.高度浄水処理施設の躯体コンクリートにおける劣化原因の推定に関する研究
近年、オゾン接触槽や生物活性炭吸着槽などの高度浄水処理施設において、コンクリート躯体の劣化が報告されており、耐久性向上および施設延命化が課題となっている。オゾン接触槽と生物活性炭吸着槽でのコンクリートの劣化機構は異なると考えられるが、未だその劣化機構は明らかとされておらず、効果的な補修・補強が行えない現状にある。本研究では、高度浄水処理施設の躯体コンクリートの劣化原因の推定を目的として、浄水場全体の劣化状況に関する情報収集を実施した。浄水場の劣化状況の把握では、沈でん池、オゾン接触池、生物活性炭吸着池、ろ過池の躯体コンクリートの外観調査を行い、コンクリートの表面状態ならびに中性化深さの測定を行った。また、処理水が躯体コンクリートに及ぼす影響を検討するため、原水から配水に至る全ての処理過程水を対象として水質分析ならびに低濃度有機酸分析を実施した。さらに、躯体コンクリートの劣化状態を詳細に把握する目的で、オゾン接触池、生物活性炭吸着池、ろ過池にてコンクリートコアサンプルを採取し、種々の試験を実施した。

7.コンクリートにおける環境負荷抑制に関する研究
a)エコセメントを用いた舗装用超硬練りコンクリートの耐凍害性の向上に関する研究
都市ゴミ焼却灰を主原料とするエコセメントを積極的に活用するためには、アルカリ量や塩化物イオン量を考慮した場合、ペースト相の体積を減じることと補強鋼材を含まないことが大変有効である。すなわち、エコセメントの適用先として、舗装用の超硬練りコンクリートが有効と考えられる。これまでに、エコセメント超硬練りコンクリート(ECRCC)は、締固め性および機械的性質で、舗装用コンクリートとして充分な性能を有していることが示されている。しかし、耐凍害性については、凍結防止剤散布下を想定したNaCl3%溶液環境下でのスケーリングが増大する傾向にある。本研究では、ECRCCの耐凍害性の向上を目的とし、水セメント比を減少させた場合および混和材料を添加した場合の基礎的な特性について検討した。

b) 歩道ブロックの表面形状による再帰反射率への影響に関する研究
近年、都市部でアスファルトコンクリートやセメントコンクリート等の蓄熱体が増えたことにより、熱帯夜や熱中症等が頻発し、人体に悪影響を及ぼしている。このため、舗装表面に遮熱性塗料を塗布し、近赤外線領域の波長の光を反射させる遮熱性塗料の検討が行われてきた。しかし、舗装表面で入射光を反射しても、反射光により構造物の壁面等を暖めると、反射の効果が少なくなる。熱源となる近赤外線を入射してきた方向へ反射する再帰反射の割合を増やすことで周辺の熱環境を改善できると考えられる。本研究では、表面形状の自由度が高い歩道舗装を対象とし、舗装材料表面の再帰反射率設計を可能とすることを目的として、舗装ブロックの表面形状が再帰反射率へ与える影響を基礎的に検討した。

8.モルタルの強度および静弾性係数に対する硬化初期の温度履歴養生に関する研究
モルタルの強度および静弾性係数に対する硬化初期の温度履歴養生に関する研究
コンクリートに対する給熱養生は、結合材の反応促進のために行われる。この熱作用は、極初期材齢の水和セメントペースト組織に対して、応力を生じさせる。良好な品質のコンクリートを得るためには熱作用を受ける前の組織が、熱作用による応力に耐えうるものとなっていることが非常に重要となる。本研究は、熱作用を受ける前の組織形成の程度が、硬化後の特性に及ぼす影響について基礎的に検討したものである。熱作用を受ける前の組織形成の程度は、プロクター貫入抵抗値で評価し、プレキャストコンクリート製品の蒸気養生を模擬した温度履歴を与え、硬化後のモルタルの特性について検討した。

9.コンクリートの破壊エネルギー試験における寸法依存性に関する研究
コンクリートの破壊エネルギー試験では、寸法依存性が存在し、切欠き高さが高くなるほど得られる破壊エネルギーは小さくなる。コンクリートの破壊エネルギーは、曲げひび割れ強度を算出する際に用いられる変数であり、コンクリートの特性値として取り扱われる。一方、破壊エネルギー試験時のひび割れ進展経路では、消費されるエネルギーが断面高さにより異なる報告があり、ひび割れ進展時に一様なエネルギーが消費されていないことが指摘されている。本研究では、コンクリートの構成材料である骨材の最大寸法を変化させて、また、供試体の形状である切欠き高さを変化させ、破壊エネルギー試験を実施した。破壊エネルギー試験時には、アコースティック・エミッション法(AE法)を適用し、ひび割れ進展に伴う微細ひび割れの形成モードおよび破壊進行領域と破壊エネルギーの関係について検討した。

10.バックルプレート床版の長期モニタリングに関する研究
東京都が管理する橋梁には、国の重要文化財である清洲橋や永代橋があり、これらの橋梁は供用後80年を超えて健在である。また、これらの床版にはバックルプレート床版(BP床版)が採用されている。BP床版の耐荷性能や疲労耐久性に関しては、十分に解明されていない現状にあり、そのモニタリング手法も確立されていない。本研究では、清洲橋実物大モデルの供試体を作製し、輪荷重走行の損傷を受けるBP床版を対象にアコースティック・エミッション法(AE法)および弾性波法を適用し、非破壊検査によるBP床版の損傷程度の把握およびモニタリングの適用性について検討した。
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コンクリート研コラム

2013/12/3
「コンクリート構造物たちを見に行こう-その2-」

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